紅葉の見ごろも終わり、
旅館は散った葉っぱでキレイに彩られていました。
そんな旅館の対岸は滝があります。
「湯霧の滝(ゆぎりのたき)」です。
この「湯霧の滝」にはある伝承があります。
ある夏、湯治にきた娘がある夜1人の男と出会います。
娘は一目見た時から好意を抱き、その日から2人は毎夜会うようになりました。
そんな日々が続いたある夜、娘は男に夫婦になってくれと頼みます。
ですが、男は「もし、そなたが本当のことを知ったら、わしから離れていくにきまっとる」
娘「どんなことがあっても、あんたはんと離れてとうないと思っておるがに」
男「本当だな。その言葉にいつわりはないな」
と男は娘の顔をのぞき込み、きつく抱きしめました。
娘は、体を見えない糸できつくしめつけられていくのを感じて、
そっと目をあけると、自分を抱きしめているのは男ではなく、
おそろしい大蜘蛛だったのです。
娘は逃げようとしますが、大蜘蛛は糸で娘の体を巻き、
長い足でかかえて、川向かいの滝をつきぬけ立山の方へ消え去ったということです。
省略して書きましたが、このような伝承が残っています。
そもそも、この滝がなぜ「湯霧の滝」と呼ばれるようになったのかはよくわかりません。
ですが、ある日の早朝。
ふと滝の方を見ると、
薄暗い景色の中に、滝の白い水しぶきが浮かび上がっており、
私にはそれが立ち上る湯けむりの様にも見えました。
もしかしたら、昔の人は急な滝を流れ落ちる水が、
すぐに消えゆく湯けむりの様に見え、それに霧を連想して
「湯霧の滝」なんて名前を付けたのかな?
なんて思いました。
皆様はどう思われます?