黒薙では今、葛(くず)が花を咲かせ始めています。
葛といえば、根からとれるデンプンをとり、
葛粉にして葛餅などに使われたり、
根を乾燥させたものを葛根(かっこん)として、
漢方に利用されています。
そんな葛は、詩人の田中冬二氏が書いた、
黒薙温泉の詩の「くずの花」という詩に出てきます。
くずの花
ぢぢいと ばばあが
だまつて 湯にはいつている
山の湯のくずの花
山の湯のくずの花
黒薙温泉
昔、黒薙温泉でじいさんとばあさんが温泉に入っており、
そこにそばに生えていた葛の花が散っていたを見てこの詩を書いたそうです。
シンプルな詩ですが、田中冬二氏はこの詩を書くのに半年ほどかかりました。
田中冬二氏は、この四行に内在するものをくんで読まれたいと言われていたそうです。
葛は風呂のそばには生えていませんが、
昔、田中冬二氏が見た景色を想像しながら、
「くずの花」に込めたものを感じてみてはいかがでしょう?